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あぶくたった煮え立った歌詞の怖い結末

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目次

怖いのに、またやりたくなる

最初は煮えたった泡の歌だ。ほのぼのした出だしで、子どもたちは輪になって歌いながら動く。戸棚を作って、鍵をかけて、布団を敷いてそこまでは牧歌的な遊びに見える。

ところが最後に、何かがやってくる。

寝たふりをしている子どもたちの前で、鬼役がじりじりと近づいてくる。足音の描写、扉を叩く音、階段を上がってくる気配。そして突然の「がおー」。

悲鳴を上げて逃げ回る子どもたちと、追いかける鬼。あぶくたったはその瞬間のために、丁寧に怖さを積み上げていく遊びだ。怖いのに何度もやりたがる。この構造こそが、何十年も子どもたちを引きつけてきた理由だと思っている。


あぶくたったとはどんな遊びか|怖さを設計した昭和の伝承遊び

起源と広まり方

あぶくたったは、正確な起源が記録に残っていない遊びのひとつだ。昭和の幼稚園や保育園を中心に全国に広まっており、保育士や幼稚園の先生たちが集会遊びとして取り入れることで世代を超えて伝わってきた。

地域によって歌詞や遊び方に細かな差異があり、怖い場面の演出も場所によってかなり異なる。共通しているのは、のどかな歌から始まり、最後に追いかけっこで終わるという大きな流れだ。

歌の構造と怖さの仕掛け

歌はおおよそ、煮物が煮えるところから始まる。食べてみよ、まだ煮えない、という繰り返しを経て、煮えたら今度は戸棚を作り、鍵をかける。鍵をかけたら布団を敷いて、眠りにつく。

この流れが、怖さへの助走になっている。

眠りにつくところまではただの歌遊びだ。ところがそこから先、鬼役が足音の場面を演じ始める。最初は遠い音、だんだん近づく音、扉を叩く音、階段を上がる音——遊びのリーダーや鬼役がこの場面をゆっくり丁寧に演じるほど、横になっている子どもたちの緊張は高まっていく。

そして限界まで引き延ばされた後、突然の大声。子どもたちは悲鳴を上げて逃げ出し、鬼に捕まった子が次の鬼になる。

怖さを段階的に積み上げて、一気に解放する。この設計が、子どもたちを何度でも同じ遊びに引き戻す。

基本の遊び

項目内容
人数4人以上。多いほど盛り上がる
場所広めの室内、体育館、公園など
道具何も不要
対象年齢幼稚園から小学校低学年が中心
所要時間1回5分程度。繰り返すことで盛り上がりが増す

遊び方と、あの頃の記憶|怖くて、でも笑っていた

基本の進め方

ステップ1:鬼を1人決める

じゃんけんや指名で鬼を1人決める。鬼役はリーダー的な立場になるため、場の雰囲気を作れる子が向いている。

ステップ2:輪になって歌いながら動く

鬼以外の子が輪になり、手をつないで歌に合わせて動く。歌の内容に合わせて動作をつけていくのが基本で、煮える場面では輪をゆらし、戸棚を作る場面では手を動かすなど、保育者や地域によってさまざまな振り付けが伝わっている。

ステップ3:眠りにつく

布団を敷く場面になったら、鬼以外の子どもたちは床に横になり、目を閉じる。寝たふりをしながら、次に何が来るかを待つ。この待ち時間の緊張感が、遊びの核心部分だ。

ステップ4:鬼が怖い場面を演じる

鬼役はここからが本番だ。足音の擬音、扉の音、階段を上がる描写を、できるだけゆっくり丁寧に声に出す。急がず、焦らず、子どもたちの緊張が最大になるまで引き延ばす。

ステップ5:突然の大声と追いかけっこ

鬼が大声を上げた瞬間、横になっていた子どもたちは一斉に逃げ出す。鬼に捕まった子が次の鬼になり、また最初から始まる。

鬼役がうまくなると遊びの質が変わる

あぶくたったは鬼役の演技力で面白さが大きく変わる。足音の場面をどれだけゆっくり引き延ばせるか、どのタイミングで声を上げるか。子どもながらに間の取り方を学んでいく過程があった。うまい鬼役がいると、横になっている子どもたちが笑いをこらえながら震えている、という不思議な状態が生まれる。


体験談|保育園の先生が、異様にうまかった

私が経験したのは幼稚園ではなく、近所の公園での話だ。

小学2年のころ、近くに住んでいた保育士の女性が近所の子どもたちを集めて遊ばせてくれることがあった。あぶくたったを初めてやったのはそのときで、その人の鬼役が今でも記憶に残っている。

足音の場面になると、彼女はひどくゆっくり話し始めた。ふつうなら30秒で終わる場面を、2分近くかけた気がする。横になっている子どもたちは誰も動かない。笑い声もない。息を殺して床に張りついている。

大声が来ると分かっているのに、来るまでの時間が異様に長い。その張り詰め方が怖くて、でも逃げるタイミングが来た瞬間の解放感が楽しくて、終わったあと全員が口を揃えてもう一回と言った。

怖さというのは、演出次第でここまで変わるのかと子ども心に思った。あぶくたったはその意味で、ある種のお化け屋敷だった。


注意しておきたいこと

怖がりの子どもには、事前に最後に大声が来ることを伝えておく選択肢もある。サプライズを重視するか、安心して参加できる環境を優先するかは、子どもの様子を見て判断したい。逃げる際に転倒しやすいため、周囲に角の立った家具がない広い場所で行うこと。


令和アレンジ|怖い遊びを現代の感覚で楽しむ

演出を子どもたちが考える

鬼役が毎回同じ足音の描写をするのではなく、子どもたちが自分で怖い演出を考えて試す形にする。何を言えば一番怖いか、どのタイミングで声を上げれば効果的かを子どもたちが話し合うプロセスが、創造的な遊びの時間になる。

暗闘バージョンで怖さを倍増させる

夜のキャンプや室内でカーテンを閉めた薄暗い環境でやると、昼間と比べて緊張感がまるで違う。怖さのレベルを子どもたちが自分で選べる形にしておくと、無理なく参加できる。

動画で怖さの演出を研究する

鬼役をやる前に、怖い演出とはどういうものかを家族で話し合う時間を設ける。映画やアニメのびっくりシーンを参考にしながら、あぶくたったの足音場面をどう演じるか考えてみる。このプロセス自体が、表現と演技について子どもが考える機会になる。

幼稚園・保育園のイベントで再評価する

近年、デジタル機器を使わない集団遊びの場として伝承遊びを取り入れる保育施設が増えている。あぶくたったは道具が不要で人数の増減にも対応しやすく、保育の現場で扱いやすい遊びのひとつだ。怖さの加減を保育士が調整できるため、年齢に合わせて使いやすい。

怖さの正体を話し合う機会にする

遊んだ後で、何が怖かったのか、どうして怖くなかったのかを子どもたちと話してみる。予測できているのに怖い理由、待つことで緊張が高まる仕組みを言葉にしていく過程は、感情を言語化するいい機会になる。


あぶくたったが子どもに残すもの

怖さを楽しむ感覚の育ち

怖いと感じながらも笑っていられる。この感覚は、フィクションとしての怖さを現実の危険と切り離して体験できることを意味している。お化け屋敷や怖い話が持つ楽しさの原型を、幼い時期に安全な形で体験できる遊びだ。

待つことの緊張と解放

足音の場面が長ければ長いほど、逃げ出した瞬間の解放感は大きくなる。この緊張と解放のサイクルを繰り返す体験が、感情の幅を広げていく。じっと待てる子どもほど、解放の瞬間を大きく楽しめる。

集団で同じ感情を共有する体験

全員が同時に怖がり、同時に笑う。この同調体験は、言葉によるコミュニケーションよりも深いところで子どもたちをつなぐ。共に何かを感じた記憶は、その場にいた人たちの間に独特の連帯感を作る。

演じることへの興味

鬼役の演技次第で遊びの質が変わると気づいた子どもは、演じることの面白さに目覚める入り口に立っている。表情、声のトーン、間の取り方——あぶくたったの鬼役は、子どもが自然に演技を意識し始める経験になりうる。


まとめ|怖いから、何度でもやりたくなる

あぶくたったが長く生き残ってきた理由は、歌の可愛らしさではなく、最後の怖さにある。怖い結末があると知っていても、子どもたちは何度でも横になって目を閉じる。怖さを予測しながら待ち続け、それでも大声で逃げ出す。

このループが止まらない。

昭和の子どもたちがそうだったように、令和の子どもたちも同じように怖がり、同じように笑う。遊び場も道具も変わっても、この構造は変わらない。次に子どもたちが集まる機会があれば、鬼役に立候補してみてほしい。足音の場面をどれだけ引き延ばせるか、そこに全力を注ぐ価値がある。

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この記事を書いた人

昭和49年生まれ。団地の広場や空き地で、毎日のように友だちと遊び回って育った世代です。
ファミコンも好きだったけれど、やっぱり心に残っているのは、竹馬、メンコ、缶蹴り、ゴム跳び…あの頃の外遊びのワクワク感。

子どもたちがスマホやゲーム中心になっていく中で、
「昭和の遊びって、実は今の時代にもめちゃくちゃ価値があるんじゃないか」
と感じるようになり、休日は地域の子ども会で昔遊びを教えたり、会社のレクリエーションで昭和ゲームをアレンジして楽しんだりしています。

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