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回り将棋 ルール簡単解説|将棋盤と駒があれば今日から始まる、昭和の正月が教えてくれた遊び方

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目次

将棋は難しくても、これなら五分で始められた

将棋の駒の動かし方を覚えるには、相当な時間がかかる。飛車はどこまでも直進できて、桂馬は変則的な動きをして、角は斜め方向だけに動く——覚えることの多さに、子どものころ何度かくじけた記憶がある。

でも回り将棋は違った。

駒の名前は使う。でも動かし方は覚えなくていい。駒を指先でくるりと回して、倒れたときに上を向いている文字の種類で進む数が変わるだけ。それだけのルールで、将棋盤が全く別のゲームの舞台に変わった。

父の将棋盤を開けるたびにやっていた。将棋そのものは指せないくせに、駒を回すことだけは誰より上手くなった冬の記憶がある。


回り将棋とはなにか|将棋の駒が独楽になる遊びの成り立ち

将棋の駒が持つ形の秘密

将棋の駒は五角形に近い独特の形をしており、先端が尖っている。この形が指先で回すときに独楽と同じ動きをする。回転しながら倒れていき、止まったときの上面に書かれた文字で進む数を決める——この仕組みがそのままゲームの基本になっている。

駒を回す道具として見たとき、将棋の駒は理想的な形をしていた。昭和の子どもたちがそれに気づいたのか、あるいは気づかないまま自然に始めたのか、記録には残っていないが、将棋盤がある家に育った世代なら誰でも知っている遊びとして広まっていった。

遊びの歴史的な背景

回り将棋の原型は江戸時代にまで遡るとされており、将棋の駒を使った遊びのひとつとして庶民の間に根づいていたと考えられている。昭和の正月に将棋盤を囲む家庭文化の中で、まだ将棋が指せない子どもたちのために大人が教えた遊びとして伝わっていったケースが多かったようだ。

地域や家庭によってルールが微妙に違い、統一された決まりはない。それが伝承遊びとしての証で、誰かの手を経るたびに少しずつ形を変えながら残っている。

基本データ

項目内容
道具将棋の駒一式、将棋盤または代替コース
人数2〜4人が遊びやすい
場所畳の上、テーブルの上など平らで安定した場所
所要時間1ゲーム15〜25分程度
対象年齢数を数えられれば幼稚園児でも参加できる
費用将棋セットがあれば追加費用なし

ルールの簡単解説|駒を回して進むだけ、本当にそれだけ

コースの作り方

将棋盤の外周のマスをぐるりと一周するコースとして使う方法が最もシンプルだ。将棋盤の外周は40マスあり、ちょうどよい長さになる。

将棋盤がない場合は、厚紙に円形や四角形のコースを描けば代用できる。コマは参加者一人ひとりが別の駒を選ぶか、別の小物をコマとして使う。全員のコマが見分けられれば何でも構わない。

スタート位置をひとつ決め、そこに全員のコマを重ねて置いてゲームを始める。


進む数の決め方

ここが回り将棋の核心部分で、同時にシンプルさの理由でもある。

山になった駒の中から一枚を取り出し、指先でつまんでくるりと回す。倒れた駒の上面に書かれた文字を見て、その文字に対応した数だけコマをコースで前に進める。

文字と進む数の対応は以下の通りで、覚えてしまえば後は回すだけだ。

駒の文字進む数
歩(ふ)1
香(きょう)2
桂(けい)3
銀(ぎん)4
金(きん)5
角(かく)6
飛(ひ)7
王・玉全員スタートに戻る(または大きく進む)

王将や玉将の扱いだけは家庭によってルールが異なることが多い。「出たら全員スタートに戻る」が一番盛り上がる設定として昭和の家庭では広まっていた。


ゲームの進め方

順番に一人ずつ駒を回す。回した人だけが進む。次の人に順番が移り、また回す。これを繰り返してコースを一周し、スタート地点に戻ってきた人が勝ちだ。

コマが誰かと同じマスに止まったとき、先にいた人を追い出してスタートに戻す「追い越しルール」を採用するかどうかで展開が変わる。このルールを入れると逆転が起きやすくなり、後半まで盛り上がりが続く。


駒の回し方のコツ

親指と人差し指の先でつまみ、軽くひねるように離す感覚が基本だ。強く押しすぎると駒が横に飛んでいき、弱すぎるとすぐに倒れて回転数が出ない。

慣れないうちは何度か空振りするが、五分もやれば感覚がつかめてくる。うまく回ったときの感触は独特で、この感触自体が遊びの楽しさの一部だった。


遊び方と、あの頃の記憶

体験談|正月三が日、同じゲームを何度やったか分からない

中学に上がる前の正月の話だ。

祖父母の家に親戚一同が集まって、食事が終わった後の時間を何かで過ごすことになった。子どもが自分を含めて四人いた。年齢は六歳から十一歳まで、ばらばらだった。

祖父が将棋盤を持ってきて「これで遊べ」と言った。将棋は難しいから四人では無理だと答えたら、「回り将棋をやれ」と教えてくれた。

ルールを聞いたら五分で理解できた。全員がすぐ始められた。

六歳の従兄が王将を出した瞬間、全員がスタートに戻された。その従兄だけ大喜びしており、泣きそうな顔をしている子もいて、その対比が祖父の大笑いを引き出した。

三が日のうちに何回やったか覚えていない。勝ち負けもほとんど記憶にない。でも畳の上で駒を回していた時間の感触と、誰かが王将を出すたびに上がった声だけは、今でもはっきりと残っている。


ルールで迷いやすいポイントと対処法

一番揉めやすいのは王将が出たときの扱いだ。「全員スタートに戻す」と「出した本人だけスタートに戻す」では展開が大きく変わる。ゲームを始める前にどちらにするかを全員で決めておくだけで、途中での揉め事がほぼなくなる。

成り駒が出た場合の扱いも家庭差が出やすい。「なり」と書かれた面が出たときは、元の駒と同じ数で進むか一つ多く進むかを事前に決めておくとスムーズだ。細かいルールは固定する必要がなく、その場で全員が納得できる形で決めれば十分だ。


将棋盤がない場合の代替案

将棋セットがない家庭でも、厚紙とペンがあれば始められる。

厚紙に直径30センチ程度の円を描き、外周を25〜30のマスに区切る。スタートを決めて、各マスに通過した記念の印をつけるスペースを設けるだけでコースが完成する。コマはボタンや消しゴムの切れ端など何でもよく、サイコロがあれば駒の代わりにサイコロで出た目の数だけ進む形にも応用できる。


令和アレンジ|回り将棋を現代の感覚で楽しむ

進む数のルールを自分で決め直す

歩が1で飛が7という標準設定を変えて、参加者が自分たちで数を決め直すとオリジナルのゲームが生まれる。歩を3に増やす、銀と金の数を入れ替えるなど、どう変えると面白くなるかを試す過程がゲームデザインの思考練習になる。試作版で一回やってみて、次にまたルールを変えるというサイクルを回すと何時間でも楽しめる。

正月の家族行事として定番化する

お年玉を渡す前に全員で一回だけ回り将棋をやり、一位になった子どもだけ少し多くもらえるという仕組みを作った家庭が昭和にはあったと聞く。景品の内容はどうあれ、この「何かがかかっている」緊張感がゲームの集中度を一気に上げる。令和の正月でも、形を変えて同じ仕組みは使える。

将棋入門への橋渡しとして使う

回り将棋で駒の名前と形に慣れた後で、一つずつ駒の動き方を覚えていく段階的な導入として機能させる。飛車の動き方を一つ教え、次は角の動き方を覚えるという順序で進めると、回り将棋で親しんだ駒への愛着が本将棋を学ぶ動機になる。

高齢者施設での正月レクリエーションとして

将棋の経験がある世代には将棋の駒を使う懐かしさがあり、将棋を知らない人でも五分でルールが分かるという間口の広さが、多世代が集まる施設でのレクリエーションとして使いやすい条件を揃えている。テーブルの上でできるため、椅子に座ったままで全員が参加できる。

自作の駒と盤で工作と遊びをつなぐ

厚紙に将棋の駒の形を描いて切り出し、それぞれに文字を書いて自作の駒を作る。作った駒で回り将棋をやることで、工作と遊びが一本でつながる。自分で作った駒の方が市販品より回しにくいことが多く、この難しさ自体がゲームに個性を加える。


回り将棋が育てるもの

数を数える実践的な経験

一歩ずつコマを動かしながら声に出して数える動作が、幼児の数概念の発達に直接つながる。点数を計算する必要がなく、進む数を数えるだけというシンプルさが、初めての数の遊びとして機能する。失敗してもすぐ次の番が来るため、数え直せる機会が繰り返し与えられる。

運と実力の関係への気づき

どの文字が出るかは自分では決められない。それなのに、駒の回し方が上手くなると大きな数が出る確率が上がると感じる子どもが出てくる。実際には確率的なものだが、回し方への努力と結果の関係を自分なりに考え始める過程が、因果関係への初歩的な思考を育てる。

待つことと順番を守る感覚

次の人が回している間、自分の番を待つ。この待つことへの慣れは、幼い子どもにとって意外と難しい課題だ。回り将棋の番が来るまでの待ち時間が、順番を守ることと期待しながら待つことを同時に体験させる。

世代をつなぐ共通言語としての機能

将棋を知らない子どもでも参加でき、将棋を指せる祖父母でも同じ楽しみ方ができる。この世代の垣根を超えた参加可能性が、正月の家族の集まりで話題を作り続けてきた理由だ。「むかしおじいちゃんとよくやった」という記憶が、次の世代に自然に伝わっていく。


まとめ|難しいことは何もなかった、それが強みだった

回り将棋のルールは本当に単純だ。

駒を回して、倒れた文字を見て、その数だけ進む。王将が出たら全員スタートに戻る。一周した人が勝ち。五分あれば完全に説明できる。

それでも正月の三が日を埋めるだけの力がある遊びだった。難しくないからこそ誰でも参加でき、難しくないからこそ駒を回す瞬間の小さな緊張が純粋に楽しめた。シンプルであることが遊びの力になっている例として、回り将棋はかなり分かりやすい部類に入ると思っている。

将棋盤のある家なら今日の正月から始められる。なければ厚紙一枚で代用できる。駒を回す感触を、ぜひ次の世代に渡してほしい。

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この記事を書いた人

昭和49年生まれ。団地の広場や空き地で、毎日のように友だちと遊び回って育った世代です。
ファミコンも好きだったけれど、やっぱり心に残っているのは、竹馬、メンコ、缶蹴り、ゴム跳び…あの頃の外遊びのワクワク感。

子どもたちがスマホやゲーム中心になっていく中で、
「昭和の遊びって、実は今の時代にもめちゃくちゃ価値があるんじゃないか」
と感じるようになり、休日は地域の子ども会で昔遊びを教えたり、会社のレクリエーションで昭和ゲームをアレンジして楽しんだりしています。

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