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5W1Hゲーム|昭和の教室で生まれた言葉遊びの名作伝承ゲーム

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目次

でたらめな組み合わせが、なぜこんなに面白いのか

誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どうした。

この六つの問いに、それぞれ別々の人間が答えを書いて集める。組み合わせは完全にでたらめで、文章としての意味などどこにもない。それを読み上げたときなぜかいつも笑いが起きる。

5W1Hゲームの不思議さは、ここにある。意味のある文章を作ろうとしているわけではないのに、たまたま絶妙な組み合わせが生まれたとき、その偶然が笑いになる。狙っていないから、笑える。

昭和の教室でも、林間学校の夜でも、家族の団らんでも、このゲームは何度でも使い回しが利いた。道具は紙と鉛筆だけで、ルールは30秒あれば説明できる。それなのに、出てくる文章は毎回違う。この無限の変化が、何十年も人を飽きさせない理由だと思っている。


5W1Hゲームとはなにか|ジャーナリズムの基本が遊びになった経緯

5W1Hという概念の起源

5W1Hとは、Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どうした)の六要素を指す。英語圏のジャーナリズム教育で記事作成の基本として使われてきた概念で、これらを押さえれば情報の骨格が完成するという考え方に基づいている。

日本には明治以降に伝わり、新聞記者の訓練や文章教育の場で広まった。昭和の学校教育では作文の指導にこの枠組みが使われることが多く、子どもたちにとって身近な概念として定着していった。

この真面目な枠組みを逆手に取り、各要素にでたらめな答えを組み合わせて笑いを生む遊びとして発展したのが5W1Hゲームだ。いつごろ誰が始めたかは記録に残っていないが、学校の国語の授業でこの概念を習った子どもたちが自然に思いついた遊びとして、昭和の教室に広まっていったと考えられている。

昭和での遊ばれ方

林間学校や修学旅行のキャンプファイヤーの後、学期末のお楽しみ会、雨の日の教室。集まった人数が多いほど組み合わせが予測不能になり、盛り上がりが増す遊びとして定着していた。

紙を細く折って答えを隠しながら次の人に渡すスタイルが昭和では一般的で、最後に全部広げて読み上げる瞬間が最大の山場だった。自分の答えがどんな文脈に収まるか、この予測不能さが、この遊びの核だ。

基本データ

項目内容
必要なもの紙、ペンまたは鉛筆
人数6人以上が理想。人数が増えるほど組み合わせが豊かになる
場所机の周りか輪になれる場所ならどこでも
対象年齢文字が書ける小学生から大人まで
所要時間1回5〜10分。何回でも繰り返せる

遊び方と、あの頃の記憶|読み上げるたびに笑いが起きた理由

基本の進め方

ステップ1:紙を縦長に用意する

細長い紙を一人一枚用意する。ノートを縦に切ったもの、広告の裏を細く折ったものでも十分だ。紙の上から順に、Who、When、Where、What、Why、Howの欄を決めておくか、その場で口頭で伝える。

ステップ2:最初の問いに答えを書いて折る

最初の人が「誰が」に当たる答えを紙の一番上に書く。有名人でも身近な人の名前でも架空の人物でも構わない。書いたら答えが見えないよう折り返して、隣の人に渡す。

ステップ3:順番に六要素を書いていく

受け取った人は前の答えを見ずに、次の要素の答えを書いて折る。これをWhen、Where、What、Why、Howの順に繰り返す。答えを書く人は、前に何が書かれているか知らないまま自分の答えだけを書く。

ステップ4:最後まで折ったら読み上げる

六つ全部書き終わったら、紙を広げて読み上げる。全員が黙って聞いていて、組み合わせが見えた瞬間に反応が起きる。読み上げる役の人が間を取って読むほど、笑いが大きくなる。

ステップ5:全員分を読み上げて比べる

参加者の人数分の紙を順番に読み上げると、同じ問いでも答えがばらばらで、毎回違う文章が生まれる。特に笑えた組み合わせを選んで再読するのが、後半の楽しみ方だ。


盛り上がりのコツ

答えを書くとき、できるだけ具体的に書く方が笑いが起きやすい。誰が、の部分に有名人や先生の名前を入れると一気に場が動く。どうした、の部分に日常的すぎる動作か、まったく予想外の行動を書くと文章の落差が大きくなる。読み上げる人がわざとゆっくり読んで間を作ると、聞いている側の期待が高まる。


体験談|林間学校の夜に、先生の名前を書いた

小学5年の林間学校、夜の班活動の時間だった。

担当の先生が「なんかゲームをやろう」と言い出して、5W1Hゲームを教えてくれた。紙をちぎって配り、最初の問いは誰が、次はいつ、という順番で回していく。

自分の番に何を書こうか迷って、誰が、の欄に担任の先生の名前を書いた。笑いを取ろうとして書いたわけではなく、ただ思いついた名前がそれだった。

後で読み上げたら、「山田先生が、昨日の夜中に、プールの底で、カレーを食べた、お腹が空いたから、踊りながら」という文章になっていた。

山田先生本人がその場にいて、声を出して笑った。先生が笑ったのを見て、班全員がどっと笑った。その夜の班活動の中で、あれが一番盛り上がった瞬間だったと思う。


気をつけておきたいこと

特定の人物をからかう意図で名前を使われると、遊びが不快な体験になることがある。学校や保育の場で使う場合は、実在の人物ではなく架空のキャラクターやアニメのキャラクターを使うルールにしておくと安心だ。笑いの対象が特定の誰かに向かわないよう、大人が場の空気を見ながら進めたい。


令和アレンジ|5W1Hゲームを現代の感覚でもっと楽しむ

テーマ縛りでバリエーションを広げる

答えを書くときに「スポーツに関係する言葉で」「食べ物だけで」「昭和の言葉で」などテーマを設定すると、答えの方向が揃うぶん文章の意外性が増す。縛りがあると逆に発想が広がる現象が起きやすく、子どもたちが自分でテーマを考え始める。

短冊に書いてお正月の飾りにする

答えを短冊に書き、できあがった文章を読み上げた後、特に笑えたものを壁に貼って飾る。正月らしいテーマ縛りにすれば、お正月の遊びとして家族で楽しめる。祖父母世代も子ども世代も同じ条件で書けるため、世代差が出にくい。

職場や地域のアイスブレイクに使う

初対面の大人が集まる場で、5W1Hゲームをアイスブレイクとして使う事例が増えている。ルール説明が短く、準備がほぼなく、笑いが自然に起きるため場をほぐすのに向いている。答えに仕事や地域に関係する言葉を入れるルールにすると、その場の話題への橋渡しにもなる。

子どもの作文指導の入り口として

5W1Hの各要素を理解するための導入として遊びから入る方法は、国語や作文の授業でも使いやすい。ゲームで笑いながら六要素を体験した後で、今度は自分でちゃんとした文章を作ってみるという流れが、概念の定着を助ける。

デジタルから離れる時間の定番に

キャンプ、停電、長距離移動、山小屋の夜——スクリーンを使えない場所での定番として覚えておく価値がある。紙があれば始められ、説明が30秒で済み、何回でも繰り返せる。道具の少なさが、この遊びを「いつでも使える切り札」にしている。


5W1Hゲームが育てるもの

言語感覚と語彙の広がり

面白い答えを書こうとするとき、ありきたりな言葉ではなく少し外れた言葉を選ぼうとする。この選択の積み重ねが、語彙の幅を広げていく。人の答えを聞いて笑いながら、自分では思いつかなかった言葉に出会う体験も語彙の拡張になる。

文章の構造を体で覚える

誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どうした——この六要素が揃えば文章の骨格になることを、遊びを繰り返す中で自然に理解していく。作文の授業より先にこの感覚が体に入ることで、後から習う文章構成の概念が腑に落ちやすくなる。

予測不能な結果を楽しむ柔軟さ

自分の書いた答えがどんな文脈に収まるか分からない、という体験は、結果をコントロールできないことを受け入れる練習でもある。思い通りにならない組み合わせを笑える感覚は、日常の不条理を軽く受け流す柔軟さと同じ系統にある。

集団の中で笑いを共有する体験

同じ紙から生まれた文章を全員で聞いて笑う。この共有の瞬間は、個々の体験ではなく集団として同じ感情を経験する場になる。笑いを通じた連帯感は、言葉では作りにくい種類のものだ。


まとめ|でたらめな六つの答えが、ちゃんと笑いになる

5W1Hゲームの面白さは、狙っていないところにある。

誰もが自分の答えだけを考えて書いているのに、合わさると文章になる。その文章が意味をなさないほど笑える。この構造は何十年変わっていないし、これからも変わらないと思っている。

次に誰かと時間を過ごすとき、紙を六等分してみてほしい。それぞれに一つの問いを書いて順番に答えを集める。読み上げたとき、必ずどこかで笑いが起きる。それだけのことで十分な時間になる。

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この記事を書いた人

昭和49年生まれ。団地の広場や空き地で、毎日のように友だちと遊び回って育った世代です。
ファミコンも好きだったけれど、やっぱり心に残っているのは、竹馬、メンコ、缶蹴り、ゴム跳び…あの頃の外遊びのワクワク感。

子どもたちがスマホやゲーム中心になっていく中で、
「昭和の遊びって、実は今の時代にもめちゃくちゃ価値があるんじゃないか」
と感じるようになり、休日は地域の子ども会で昔遊びを教えたり、会社のレクリエーションで昭和ゲームをアレンジして楽しんだりしています。

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