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カチン、と乾いた音。ガラスとガラスがぶつかる、あの小さな音を聞くと、いまでも指先がむずむずします。

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昭和の子どもの宝物入れに、ビー玉はつきものでした。お菓子の缶に詰めこんで、ときどき蓋をあけてはじゃらじゃらとかき混ぜる。中にねじれた色の帯が入った玉を光にかざすと、ガラスの中に小さな渦が閉じこめられているように見えたものです。

地面に掘った穴へ転がし入れる。指ではじいて相手の玉に当てる。勝てば相手の玉が自分のものになる。放課後の空き地は、小さなガラス玉をめぐる真剣勝負の場でした。

そのビー玉を、いまは手作りのおもちゃで転がしてみる。箱のふたと厚紙で迷路を、トイレットペーパーの芯でコロコロ転がるコースを。雨の日でも、親子でも、大人ひとりでも夢中になれる、昔遊びの新しいかたちです。

ビー玉と昭和の子ども、昔遊びの定番だったガラスの玉

ビー玉という名前の由来

ビー玉の名前の由来には、いくつかの説があります。ガラスを指すビードロという言葉からきたという話。ラムネのびんの栓として使えなかった玉をB級の玉と呼んだのが始まりという話。どれが本当かは、はっきりしていません。どちらの話にも、ガラスの玉が暮らしのすぐそばにあった時代の空気がにじんでいます。

空き地で遊んだビー玉はじきと穴入れ

昭和のビー玉遊びは、いつも地面とともにありました。土に小さな穴をいくつか掘り、決めた順番に玉を転がし入れていく遊び。地面に描いた線の中に玉を並べ、外から自分の玉をはじいて当てて追い出す遊び。親指で弾く角度、力の加減。うまい子の指先は、横で見ているだけでほれぼれしました。

勝った玉をもらえる決まりで遊ぶ日は、空気がぴんと張りつめる。お気に入りの玉を取られて、帰り道に半べそをかいたこともあります。

手作りおもちゃに必要な材料と人数

用意するのは、ビー玉数個、お菓子の箱のふたや段ボール、厚紙、トイレットペーパーの芯、牛乳パック、セロハンテープ、木工用ボンド、はさみ、カッター。ひとりでも作れますが、家族やグループで分担すれば、大きな仕掛けにも挑めます。

手作りビー玉おもちゃ3つの作り方と遊び方

箱のふたで作るビー玉迷路

①お菓子の箱のふたなど、ふちのある浅い箱を用意します。

②厚紙を細長く切って壁にします。底にボンドをつけて立て、迷路の道になるように並べていきます。

③ところどころに、ビー玉が落ちるくらいの穴をあけておくと難しさがぐっと増します。カッターを使うところは大人が受けもちます。

④スタートとゴールに印をつけたら完成。箱を両手で持ち、傾けながらビー玉をゴールへ運びます。

壁の配置を変えれば、何度でも新しい迷路に作り直せます。家族で一枚ずつ作って交換すると、作った人の性格がにじみ出る迷路になって面白い。

トイレットペーパーの芯で作るコロコロコース

①トイレットペーパーの芯を縦に半分に切ると、ビー玉が転がる雨どいのような形になります。

②大きな段ボールの板を壁に立てかけ、そこへ芯のパーツをジグザグに貼っていきます。

③パーツとパーツのつなぎ目は、上のパーツの端が下のパーツの内側に少し入るように重ねます。ここがずれていると、ビー玉が外へ飛び出してしまいます。

④いちばん下に紙コップを置けば、ゴールに落ちる音まで楽しめます。

牛乳パックを開いて折り曲げれば、長い直線のコースも作れます。カーブ、急な坂、ジャンプ台。転がしては直し、直しては転がす。完成した瞬間より、うまく転がらないコースをいじっている時間のほうが、ずっと長く、ずっと楽しい。

空き箱で作るビー玉はじきの的あて

①空き箱を伏せて、片方の側面の下に、ビー玉が通るくらいのアーチ形の穴を3つか4つ切り抜きます。

②穴の上に、それぞれ点数を書いておきます。小さな穴ほど高い点に。

③少し離れた床から、指でビー玉をはじいて穴に入れます。1人3球ずつ、合計点で勝負します。

空き地のビー玉はじきを、そのまま家の床に持ちこんだような遊びです。親指の使い方は、昭和の子どもだった大人の出番。見本を見せると、子どもの目にほんの少し尊敬の色が浮かびます。

ビー玉で遊ぶときの安全の約束

ビー玉は、小さな子が口に入れると喉に詰まるおそれがあります。なんでも口に運ぶ年ごろの子がいる部屋では、遊び終わったら数を数えて、残らず片づけてください。

床に転がったままの玉は、踏むと足を取られます。ガラスなので、投げたり高いところから落としたりもしない。カッターやきりを使う作業は大人が受けもつ。これだけ守れば、安心して遊べます。

子ども向けから大人も楽しめる形まで、ビー玉おもちゃの令和アレンジ

子ども向けは、自由研究につなげる

コロコロコースの坂の角度を変えて、ゴールまでの時間を測ってみる。急な坂ほど速いのか、カーブが多いとどうなるのか。遊びの延長が、そのまま夏休みの自由研究になります。

ドミノや積み木と組み合わせ、ビー玉が転がると次の仕掛けが動く連鎖の装置をつくるのも、子どもがのめりこむ遊び方です。

動画や計測アプリを使うデジタルアレンジ

スマホのストップウォッチで、スタートからゴールまでのタイムを測る。家族それぞれのコースでタイムを競えば、ちょっとしたレースの始まりです。

コースの横にスマホを置いてスローモーションで撮ると、カーブで玉が浮き上がる瞬間や、つなぎ目で跳ねる様子がはっきり見えます。どこで失速しているのかがわかれば、次の改良の手がかりにもなります。

大人のレクリエーション向けアレンジ

大人数で遊ぶなら、チームごとに同じ材料を配り、ビー玉がいちばん長い時間転がり続けるコースを作る対抗戦がおすすめです。速さではなく長さを競うところがみそで、知恵を出し合ううちにチームの空気がほぐれていきます。

木材や透明の筒を使って、腰を据えて大人の作品を作るのもいい。部屋の片隅にビー玉の転がる仕掛けがひとつあるだけで、ふとした休憩時間が少し豊かになります。

SNS映えするビー玉の遊び方

ビー玉を窓辺に並べて逆光で撮ると、ガラスの中で光が丸く集まり、向こうの景色が逆さまに映りこみます。色とりどりの玉がコースを流れていく動画は、カラカラという音ごと残せるのがいいところ。

透明の容器や筒でコースを作れば、玉の動きが外から見えて、短い動画でも目を引きます。昭和レトロな雑貨が好きな若い世代にも、ガラス玉のきらめきは新鮮に映るはずです。

ビー玉おもちゃで育つ力、手作りの昔遊びが今の子に教えること

傾きと速さを体で知る

箱をどのくらい傾ければ玉が動き出すのか。急な坂で勢いのついた玉は、カーブでどうなるのか。教科書で習う前に、手の感覚で知ってしまう。ビー玉は、重さと傾きのしくみを教えてくれる小さな先生です。

うまくいかないことを楽しむ力

コースは、一度で完成することがまずありません。飛び出す、止まる、詰まる。そのたびに原因を探して直す。失敗を何度でも笑って直せる経験には、画面の中のゲームでは味わえない手ざわりがあります。

指先の集中力

迷路の箱を傾ける繊細な手の動き。はじく瞬間の親指の加減。息を止めて玉の行方を見守る時間は、子どもの集中力をぐっと引き出します。

引き出しの奥のビー玉を、もう一度転がす

引き出しの奥や押し入れの箱の中に、昔のビー玉がひっそり眠っている家もあるはずです。見つからなければ、百円ショップでも手に入ります。

週末に箱のふたと厚紙を用意して、親子で迷路を一枚。学校の工作の時間や、学童保育の雨の日の遊びにも、そのまま持ちこめます。

雨音を聞きながら、テーブルの上で小さなガラス玉がゴールへ向かう。そんな午後が、空き地で玉を追いかけていた昭和の夕暮れと、静かにつながっていきます。

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この記事を書いた人

昭和49年生まれ。団地の広場や空き地で、毎日のように友だちと遊び回って育った世代です。
ファミコンも好きだったけれど、やっぱり心に残っているのは、竹馬、メンコ、缶蹴り、ゴム跳び…あの頃の外遊びのワクワク感。

子どもたちがスマホやゲーム中心になっていく中で、
「昭和の遊びって、実は今の時代にもめちゃくちゃ価値があるんじゃないか」
と感じるようになり、休日は地域の子ども会で昔遊びを教えたり、会社のレクリエーションで昭和ゲームをアレンジして楽しんだりしています。

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