MENU

お祭りのお菓子遊び、型抜きやお菓子すくいを家で楽しむ昭和の昔遊び

  • URLをコピーしました!

裸電球の下にずらりと並んだ屋台。綿あめの甘い匂いと、焼きそばのソースの煙。人波をかき分けて、私がまっすぐ向かうのは、いつも型抜きの屋台でした。

長机の前にしゃがみこみ、小さな板のお菓子に針を立てる。描かれた線にそって、少しずつ、少しずつ削っていく。周りのざわめきが遠のいて、自分の息の音だけが聞こえる。あと少しというところで、ぱきん。割れたかけらを口に放りこみ、もう一枚と小銭を握りしめた夏の夜を、いまも鮮やかに思い出します。

お祭りには、お菓子を使った遊びがいくつもありました。型抜き、お菓子すくい、お菓子釣り。どれも景品がお菓子そのものだから、負けても甘い。勝てばもっと甘い。そんな昭和の縁日の遊びは、家の中でも子ども会でも、ちょっとした工夫で再現できます。

昭和のお祭りを彩ったお菓子の遊び

型抜きは、針一本で挑む夜店の真剣勝負

型抜きは、薄い板状のお菓子に押された絵柄を、針やつまようじで割らずに抜き取る遊びです。絵柄が細かいほど難しく、うまく抜ければほうびがもらえる屋台もありました。子どもにとっては、お祭りの夜でいちばん手に汗を握る時間でした。

お菓子すくいとお菓子釣り、景品そのものがお菓子の遊び

山のように積まれた小袋のお菓子を、小さなスコップでどれだけ取れるか。お菓子すくいは、欲張るほどこぼれていく、加減の遊びです。

糸の先の磁石や針で、お菓子を釣り上げるのがお菓子釣り。町内の子ども会の夏祭りでは、上級生が割り箸の竿を用意して待っていてくれました。

用意するものと人数

型抜きは、駄菓子として売られている型抜き菓子とつまようじ。お菓子すくいは、個包装のお菓子、深めのボウル、お玉や紙コップ。お菓子釣りは、割り箸、たこ糸、磁石とクリップ、厚紙。どの遊びも1人から挑戦でき、家族や子ども会の人数がそろえば、そのまま縁日ごっこになります。

お祭りのお菓子遊びの遊び方、家でもできる手順

型抜きの遊び方

①型抜き菓子とつまようじを用意し、机の上に紙を一枚敷きます。

②絵柄の線の上を、つまようじの先で軽くなぞって溝をつけます。

③溝を少しずつ深くしていきます。一度に力を入れると、板ごと割れてしまいます。

④細くくびれた部分は最後に回します。外側の大きな部分から順に外していくと、割れにくくなります。

⑤絵柄だけをきれいに抜き取れたら成功。割れたら、そのかけらはおやつに。

夜店では、指先をちょっとなめて板を湿らせ、溶かしながら削る子もいました。行儀は悪いけれど、あれも昭和の子どもなりの知恵だったのでしょう。

お菓子すくいの遊び方

①深めのボウルに、個包装のお菓子を山盛りにします。

②すくう道具をお玉か紙コップに決め、ボウルの横に受け皿を置きます。

③1回の番ですくえるのは一度だけ。こぼさずに受け皿まで運べたぶんが、自分のものになります。

④全員の回数をそろえて、取れた数を比べます。

山の斜面のどこに道具を差しこむかで、取れる数がまるで変わる。欲張って高く盛ると、受け皿へ運ぶ途中で崩れていきます。

お菓子釣りの遊び方

①割り箸の先にたこ糸を結び、糸の先に磁石をテープでしっかり留めて竿にします。

②厚紙で魚や動物の形を切り、クリップを留めてお菓子に貼りつけます。袋の口にクリップをはさむだけでも釣れます。

③床に段ボールの池をつくってお菓子を並べ、釣り上げたものがもらえる決まりで遊びます。

遊ぶときに気をつけたいこと

型抜きは針ではなくつまようじで。小さな子には大人がついて、先を人に向けないよう伝えます。小さな磁石は飲みこむと危ないので、竿から外れないよう念入りに固定しておく。釣り竿を振り回すと糸が顔に当たるので、遊ぶ場所には間隔をとります。お菓子は個包装のものを使い、食物アレルギーのある子がいるときは、並べる前に原材料を確かめてください。

子ども向けから大人も楽しめる形まで、お祭りお菓子遊びの令和アレンジ

子ども向けは、おうち縁日にしてしまう

段ボールで屋台の看板をつくり、紙のちょうちんをぶら下げれば、リビングがたちまち縁日に変わります。手作りのお金やチケットを用意して、子どもが店番をする側に回るのも楽しい。お釣りの計算も、遊びの中ならすんなり身につきます。

型抜きがまだ難しい年ごろなら、画用紙に絵柄を描き、線の上につまようじで穴を並べた紙の型抜きから始めるといい。ちぎって抜き取るときの手ごたえは、本物とよく似ています。

タイマーと動画で楽しむデジタルアレンジ

型抜きの挑戦をスマホでタイムラプス撮影すると、長い格闘がほんの短い動画に縮まります。どこで割れたのかを見返して、家族で大笑いできます。

お菓子すくいはタイマーアプリで制限時間を決め、取れた数を記録していく。毎年続ければ、夏の恒例行事のできあがりです。去年の自分の記録を超えられるか。子どもが一年ぶんの成長を自分の手で確かめられる仕掛けになります。

大人のレクリエーション向けアレンジ

大人の集まりには、型抜き大会がよく似合います。ふだん口数の少ない人が、驚くほど器用だったりする。絵柄の難しさで点数を変えて合計点を競うと、にぎやかだった宴会の一角が急に静まり返ります。

お菓子すくいの中身を、小袋のおつまみに変えるのもいい。仕事帰りの大人たちが、子どもの顔に戻ってお玉を山に差しこむ姿は、見ているだけで楽しいものです。

職場の夏のイベントや地域の高齢者の集まりでも、遊びのそばで、それぞれのお祭りの思い出話が始まります。

SNS映えするお祭りお菓子遊び

浴衣や甚平を着て、ちょうちん型のライトを灯した部屋で型抜きに挑む。手元を真上から撮ると、張りつめた指先と、割れる一瞬の緊張がそのまま伝わります。

成功した型抜きを黒い布の上に並べて撮れば、小さな工芸品のよう。カラフルな小袋が山になったお菓子すくいの写真は、昭和レトロな縁日の雰囲気を好む若い世代の目にも留まりそうです。

お祭りのお菓子遊びが育てる力

型抜きで鍛えられる集中と手先

ほんの少し力を入れすぎただけで、板は割れる。息をひそめ、指先の力を細かく調整し続ける。型抜きは、集中している時間そのものを遊びに変えてしまいます。

すくいと釣りで身につく数と量の感覚

どの角度で差しこめば、いちばん多くすくえるか。取れた数を数え、くらべ、記録する。お菓子という目に見えるごほうびがあるから、子どもは数えることを面倒がりません。

地域のお祭りへつながる心

家で縁日ごっこをした子は、本物のお祭りへ行ったとき、屋台をひとつひとつ違う目で見るようになります。お店の人の手さばき、品物の並べ方、呼びこみの声。地域の行事に心を向けるきっかけが、家のテーブルの上から生まれます。

次のお祭りを待たずに、家族で小さな縁日を

型抜きの板が割れる、ぱきんという音。お菓子の山が崩れる、さらさらという音。お祭りの夜のにぎわいは、家のテーブルの上でも十分に再現できます。

週末の夜、照明を少し落として、家族で縁日を開いてみてください。子ども会のお楽しみ会や、学校行事のひとコマにも、そのまま持っていける遊びです。

割れた型抜きのかけらの、あの素朴な甘さ。今度は子どもと半分ずつ分け合って。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

昭和49年生まれ。団地の広場や空き地で、毎日のように友だちと遊び回って育った世代です。
ファミコンも好きだったけれど、やっぱり心に残っているのは、竹馬、メンコ、缶蹴り、ゴム跳び…あの頃の外遊びのワクワク感。

子どもたちがスマホやゲーム中心になっていく中で、
「昭和の遊びって、実は今の時代にもめちゃくちゃ価値があるんじゃないか」
と感じるようになり、休日は地域の子ども会で昔遊びを教えたり、会社のレクリエーションで昭和ゲームをアレンジして楽しんだりしています。

目次